コラム 2024年8月号 コルセットについて
2024年08月1日 コラム
腰痛を生じた際の対処法として、コルセットや腰痛ベルトを使用する方が多いのではないでしょうか。ただ、コルセットもいくつかの種類があり、個々の状態に合ったものを使用することが重要です。今回は病院で使われているのものから市販されているものまでコルセットの注意点について紹介していきます。
〇コルセットの種類
コルセットは脊椎疾患(腰痛等)で適応となる場合が多く、患部の安静や疼痛の緩和を図るため、硬性コルセット、軟性コルセット、軟性装具等が治療に使用されます。
1)硬性コルセット
材質・形状 | プラスチックや金属などで体幹を覆うようなもの |
目的 | 屈伸・側屈・回旋を制御し脊柱の全方向の強固な固定 |
適応例 | 胸腰椎の圧迫骨折(病的骨折含む)、 胸腰椎の炎症(化膿性脊椎炎など)・主要、術後の固定 |
2)軟性コルセット
材質・形状 | メッシュ素材を主材とし、必要に応じプラスチックや金属を 上下方向に部分的に用いたもの(例:ダーメンコルセット) |
目的 | 腹圧上昇による脊柱への荷重軽減、運動制限による脊柱安定化 |
適応例 | 椎間板ヘルニア、すべり症・分離症、圧迫骨折(保存療法) |
3)軟性装具
材質・形状 | メッシュ素材で伸縮性の高いベルトを用いたもの |
目的 | 腹圧上昇による脊柱への荷重軽減、安定化 |
適応例 | 腰痛、腰椎疾患の固定術後 |
〇コルセット装着の注意点
コルセットの下端が腰骨(腸骨)にかかるように、適度にきつく装着します。
・体を動かすことで上下にずれてくることがある為、気が付いたら装着し直します。
・金属部など局所に当たる部分があれば、タオル等を挟み、傷などにならないように注意します。
・息苦しかったり、動きづらくなったりするため、緩く装着する方がいらっしゃいますが、十分なコルセット効果が得られないため、気を付けましょう。
※臥床(寝る際)時は装着する必要が無い場合もありますが、医師から指示された内容を守りましょう。
〇コルセットによる弊害
長期間のコルセット装着で体幹の動きが制限されることにより、可動域や柔軟性、体幹周囲筋の筋力が低下することが懸念されます。特にインナーマッスルは体の奥に位置し、脊柱の安定化に作用すると言われています。その中でも腹横筋、多裂筋、骨盤底筋群はコルセット筋とも言われ、コルセットと似たような作用、働きをするため、筋力低下を起こさないようにすることが重要です。
筋力が低下してしまうと、体幹が動作の軸として機能できず、様々な動作でふらつきやすくなり、転倒のリスクも上がります。コルセットを使用していない方でも体幹の筋力低下は起こりやすいものです。腰痛予防や便秘解消、良い姿勢を保つためにも今のうちから強化しておきましょう。
☑コルセットの着用方法や運動方法などリハビリスタッフに気兼ねなくお尋ねください。
(引用・参考文献)
義肢装具のチェックポイント、日本整形外科学会、日本リハビリテーション医学会、医学書院2017