コラム 2022年11月号 減量するほど膝関節症の痛みは軽減する!?

2022年11月1日 コラム

整形外科を受診される患者さまは、腰の痛みに次いで膝関節や肩関節の痛みでの受診が多いです。中でも、慢性的な膝の痛みに苦しむ変形性膝関節症(膝OA)の患者数は、日本では約2500万人以上、世界中で2億5000万人以上と推定されています。

高齢者や肥満傾向の人は膝OAになりやすいとされますが、過体重や肥満の膝OA患者は体重が減少するほど膝の痛みが軽減し、健康関連のQOL(生活の質)も向上することが明らかになりました。

アメリカの大学健康運動科学部門の研究グループは、肥満を伴う膝OA患者を対象に、食事療法と運動療法の有効性を検証した結果、18カ月にわたって体重の10%以上減量すると膝の痛みが50%程度軽減し、関節の可動域も大きく改善したと報告しました。

対象患者で体重の減少率を4つの群(5%未満、5%以上10%未満、10%以上20%未満、20%以上)に分けて解析したところ、体重が減少するほど痛みが軽減するだけでなく関節機能が向上し、歩行距離や身体機能も有意に改善することがわかりました。

20%以上の減量に成功した方では、10%以上20%未満だった方と比べても痛みが25%軽減し、身体機能も向上し続けたとのことです。

さらに、減量するほど身体的および精神的な健康関連QOLスコアも改善し、膝関節にかかる負荷の程度や炎症マーカー(インターロイキン-6)の血中濃度も有意に改善しました。

過体重や肥満の成人の減量目標として、まずは現在の体重を10%減らすことが推奨されます。

また今回の結果、推奨基準を超える20%以上の減量に成功すると、膝OA患者は外科的治療や薬物治療を行うことも少なくなったとされました。

専門家の1人は今回の結果を受けて、「膝OAを抱える過体重や肥満の患者において、減量は外科手術を行わずに痛みを軽減し、QOLを向上させる数少ない手段の一つだとする新たなエビデンスが加わった。減量は簡単なことではないが、その有益性からも患者が努力するに値することを強く裏づけるデータだ」と評価しています。

減量を行うことにより、心身ともに充実した生活を送ることができると唱えられ、普段の生活での食事や適度な運動からはじめてはどうでしょうか!?

※今回の内容は、アメリカ大学健康運動科学部門の研究グループ、米国立衛生研究所の内容をもとに記載したものです。減量においては様々な種類や内容のものがございますので、自身に合った減量方法を見つけて行ってみてください。

熊本市東区御領の整形外科クリニックです。お子様の成長やスポーツに関する悩み、働く世代の方々の痛みやしびれ、高齢の方々の歩行や動作の不安や障害など骨、関節、筋肉に関する問題など、ご相談ください。

診療内容:整形外科・スポーツ整形外科・リハビリテーション科・リウマチ科

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