コラム 2022年7月号 五十肩とは?
2022年07月1日 コラム
一般的に四十肩、五十肩と呼ばれる肩の痛み。診断としては「肩関節周囲炎」と呼ばれるものです。40 ~ 70 歳の年齢層に発症し、人口の 2 ~ 5%がかかるとされており、特に 40 ~ 60 歳の女性に多いとされる疾患です。関節を構成する骨、軟骨、腱(筋肉の一部)などが老化して肩関節周囲の組織に炎症を起こすことが主な原因と考えられています。肩関節の動きをよくする袋(滑液包)や関節を包む袋(関節包)が硬くなるとさらに動きが悪くなります。
どのような症状が起こるのか?
痛み:肩を動かすときや、夜中にズキズキして、眠れないこともあります。
動きの制限:肩の動きが悪くなることで、手をあげたり、服を着替えることが不自由になります。
肩関節周囲炎になってからの経過は?
初めの症状として痛みが出現し、肩を動かすことが苦痛になります。安静時の痛みや夜間痛を生じるようになり、拘縮(関節が動きにくくなった状態)が徐々に進行します。
拘縮が中心となり、あらゆる方向に動きが狭くなりますが、痛みは軽快していきます。
拘縮が徐々にとれて、動きが改善していきます。
治療方針
運動療法
運動療法の目的は肩関節を含めて、さまざまな関節や身体全体に対して適切な運動を習得することです。肩関節・肩甲骨周りも含めて筋肉の活動を高めます。
徒手療法
徒手療法は、理学療法士の手によって直接行われ、関節の動きや筋肉の柔軟性など機能の改善を図ります。痛みのある時期は愛護的に実施していきます。
物理療法
機器を用いて、痛みを和らげたり、緊張している筋肉をほぐします。
肩と姿勢の関係性は?
姿勢と肩の動きはお互いに影響し合っているため、悪い姿勢によって肩に負担をかけている可能性があります。肩に痛みがある方でも実際には姿勢の悪さから肩甲骨や肩まわりの筋肉がしっかり動かないことが影響して、痛みにつながっていることがあります。
肩関節周囲炎になりやすい人
・糖尿病
・甲状腺疾患がある方
・血中脂質値(中性脂肪、コレステロール)が高い方
・デスクワークなど活動量が少なく、長時間同じ姿勢の方
放置すると症状が改善しませんので、必ず治療しましょう
肩関節周囲炎はその時期に応じた治療が必要ですので、肩の異常を感じたら我慢せずに早めに病院を受診しましょう。
日本理学療法士協会 国民の皆さま向けサイト 刊行物 シリーズ13肩関節周囲炎
https://www.japanpt.or.jp/activity/asset/pdf/handbook13.pdf