コラム 2020年12月号 寒い時期のヒートショックにご注意を!

2020年12月5日 コラム

最近極端に寒くなりましたね。この季節になると耳にすることが増える「ヒートショック」についてのお話です。

ヒートショックとは急な温度変化で身体の不調が出ることです。主に血圧や脈拍に影響が出ます。寒くなる11月から2月頃に起こりやすい傾向にあります。まさに今の時期ですね。

温度が大幅に変化すると、血管が急激に収縮したり弛緩します。これは血流を増減させて体温を一定に保つためです。しかし、そのために血圧や脈拍に変動が生じ、心臓に負担をかけてしまうのです。環境や体調によっては、心筋梗塞や脳血管疾患(脳梗塞や脳出血など)などに繋がりかねない危険な状態になることがあります。

国の統計によりますと、交通事故の年間の死亡者数の約7~8千人に比べ、ヒートショックでの死亡者数は推定1万人を越えています。高齢者が家庭内で死亡する原因の25%を占める、とも言われています。その他、特に糖尿病や高血圧の方、動脈硬化のある方、無呼吸症候群など呼吸に問題のある方も注意が必要です。

では生活の中でどういった場面でヒートショックの危険があるのでしょうか

まず一番危惧されているのが脱衣所浴室です。入浴時や入浴後には血圧が急激に変動して、転倒や入浴時の失神により溺れるといった事故もあります。「一番風呂は体によくない」という話を聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。一番風呂の場合、浴槽のお湯が40度程度に対し、浴室内の温度は冬場になると外気温に近い約10度になることもあります。その温度差が心臓や血管に大きな負担を与えます。一人入った後であれば、浴室内も湯気が立ちこめ温度も上がり、ヒートショックの危険性もかなり低くなります。一番風呂はこういった意味で危険と言われているのです。

次に危惧されているのがトイレです。トイレでは寒暖差以外にも排便の際、いきみにより血圧が上昇し、その後急激に血圧が下がりショックを引き起こす場合もあります。

ではヒートショックを起こさないためにはどうすればいいのでしょうか

①部屋間の温度差をなくす

 可能であればこれが一番安全な方法です。脱衣所や浴室、トイレに暖房器具を設置するなどして暖かくしておくと良いでしょう。浴室内に暖房器具がない場合はお湯を張った浴槽の蓋を前もって開けておけば先ほどの一番風呂の原理で浴室内は比較的温まります。

②ゆっくりと入浴する

 入浴時には心臓から遠い手や足からかけ湯をするなど、お湯の温度に体を慣らしてから浴槽に入るようにしましょう。

③入浴前後に水分補給をする

 入浴すると汗をかき、体内の水分が減って、血液がどろどろになります。この状態では血液の塊ができやすく、血圧が上がると脳梗塞や心筋梗塞になりやすいため、予防法として大切です。

④生活の中に運動を取り入れる

 直接的な予防法ではありませんが、ヒートショックの危険性が高い高血圧や糖尿病を予防するためにも運動は必要です。週に3-4日、30分程度の運動が理想的です。ウォーキングなどの有酸素運動と踵上げなどの筋力トレーニングを行うとより効果的です。

生活の工夫や運動で冬の寒さに負けず元気に過ごしましょう!

熊本市東区御領の整形外科クリニックです。お子様の成長やスポーツに関する悩み、働く世代の方々の痛みやしびれ、高齢の方々の歩行や動作の不安や障害など骨、関節、筋肉に関する問題など、ご相談ください。

診療内容:整形外科・スポーツ整形外科・リハビリテーション科・リウマチ科

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