コラム 2023年7月号 男性の骨粗鬆症
2023年07月1日 コラム
高齢化の進展に伴い骨粗鬆症患者が増えており、特に女性に多く、推定患者は980万人と女性特有の疾患と捉えられることが少なくありません。しかし、男性の推定患者は300万人ともいわれており、男性の骨粗鬆症も注目されています。
今年開催された第96回日本整形外科学会にて、聖隷佐倉市民病院整形外科の水谷雅哉先生が男性骨粗鬆症について発表されています。その内容は、「骨粗鬆症男性では骨格筋量、特に下肢筋量が有意に低値であり、新たな危険因子として下肢筋量低値が同定された。」と述べられました。
これまで、女性の骨粗鬆症と筋量の関連について検討した報告は複数あり、サルコペニアや握力の低下などが骨粗鬆症の危険因子であることが示されています。
一方、男性の骨粗鬆症に関しては、糖尿病や胃切除、前立腺がんに対するアンドロゲン遮断療法による二次性骨粗鬆症が半数を占めるとの報告があるものの、骨粗鬆症と筋量との関連性については報告があまりありませんでした。
今回の水谷先生の発表で、「これまでに、男性骨粗鬆症の危険因子として低体重、低BMI、日常生活動作(ADL)の低下、現在の喫煙、過度な飲酒、ステロイドの使用などが挙げられているが、今回新たに下肢筋量の低値が同定された。下肢筋量の減少により体重の減少、BMIやADLの低下が生じ、骨粗鬆症に至る可能性がある」と結論づけられました。
「高齢男性の骨折を予防しADLの維持・向上を図るには、下肢を中心とした筋力トレーニングにより骨粗鬆症を予防することが重要だ」と締めくくられました。
下肢の筋量の維持、向上を目的とした筋力トレーニングとして、一般的に用いられる代表として、「スクワット」があります。
簡単、手軽にできるエクササイズです。運動をされていない方は、まずは10回行うことを目標にして、男性女性問わず、毎日の日課にしてはどうでしょうか!
MEDICAL TRIBUNE 医療ニュース、2023、運動器 水谷雅哉先生
https://medical-tribune.co.jp/news/2023/0601556804/