2024年3月号 高齢者の骨密度低下を抑えるのに衝撃が有効!?
2024年03月1日 コラム
運動や日常生活の中で骨にわずかな衝撃を与えるだけで、加齢に伴う骨密度の低下を抑えることができる可能性のあることが、フィンランドの大学の研究で発表されました。
加齢に伴い運動量は減り、それとともに骨密度は低下しやすいです。加齢に伴う骨の強度の低下はある程度は避けられない現象ではありますが、高齢になっても運動を行うことで骨の強度を維持し、その低下速度を遅らせることができる可能性があります。
フィンランドの大学研究では、座位行動の多い70歳以上の男女299人(平均年齢74±4歳、女性58%)を対象に1年間にわたる運動介入の効果を検討した研究データを用いて、運動と骨の強度との関連を検討されました。
対象者は、筋力、持久力、バランス、柔軟性の改善に焦点を当てた1年間の運動プログラムに取り組み、試験開始時と12カ月後に骨密度測定(二重X線吸収法)した結果、身体機能は向上し骨密度の低下を抑制できた、との研究結果となりました。
こうした結果から研究チームは、「骨密度の低下を抑える上で鍵となるのは身体活動の強度と衝撃の強さです。例えば、ランニングや早歩きをする人は、普通のペースで歩いた人よりも効果がはるかに高かった」との結果。「高強度の身体活動は、早歩きや階段の昇降などの形で日常生活の中に少しずつ取り入れることが可能です。実際にジャンプしなくても、まずつま先立ちになり、それからかかとを落として、軽い衝撃を体験してみると良いでしょう」と研究チームは述べています。そして、「70代や80代であっても、衝撃を意識した運動を日課にすることは難しいことではないので、チャレンジしてみましょう」と伝えられています。
(HealthDay News 2024年1月17日)
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