足底腱膜炎
足底腱膜炎(そくていけんまくえん)とは、足底腱膜と呼ばれる足の裏に存在する腱膜が炎症を起こした状態のことです。
足底腱膜は、アーチ状になっている足の土踏まずを支える重要な役割があり、足への衝撃を和らげるクッションの働きも担っています。
足底腱膜は足にかかる衝撃を吸収するクッションの役割を果たすほか、吸収した衝撃を利用し、蹴り出すエネルギーとして活用する役割を行っています。
しかし、足底腱膜に過剰なストレスが加わることで、足底腱膜と骨の付着部で炎症が起こすと、衝撃が吸収されにくくなったり、蹴り出すときの力のバランスが悪くなったりするため、歩く・走るなどの動作がしにくくなります。
原因と病態
強い衝撃が加わるスポーツなどをしている
陸上競技・球技などのスポーツや長時間歩き続けること、立ち続けることなどが挙げられます。繰り返し衝撃を足裏に与えることで、足底筋膜や筋肉は固くなり、足底腱膜炎になります。
靴を替えた、合っていない方
靴が自分の足に合っていない、踵が固定されていない、クッション性がない、など足底腱膜に負担がかかっていると痛みが出やすい状況です。
足のアーチの崩れている方
ハイアーチや扁平足の方は足底に不均等なストレスがかかっているため、足底腱膜に負担がかかりやすくなっています。足裏にタコ(ベンチ・胼胝)が出来ている人は注意が必要です。
ふくらはぎやアキレス腱など筋肉が硬い方
ふくらはぎやアキレス腱を含めて、筋肉が硬いと足の踏み返しの際に足底腱膜に負担が出やすくなります。
疲労の蓄積や、加齢
下肢に負担がかかるスポーツや仕事を行うと、その疲労から筋肉が固くなり足底腱膜炎になることがあります。毎日適切なストレッチやマッサージなどのケアを行わずに過ごしていると、症状をより助長することがあります。
地面が硬い場所での運動や仕事をされる方
アスファルトなど地面が固い場所での運動やスポーツは、常に強い衝撃が測定に加わるため、足底腱膜が硬くなり炎症を起こす可能性があります。
症状
足底部痛の好発部位
◯踵の前方(足底腱膜の起始ぶ)
◯中央部(土踏まず)
◯足趾の付け根
特徴的な動作・症状
◯歩くと踵から足底が痛い
◯歩行時間や距離が長いと痛みが増強する
◯足の裏を圧迫すると痛い
◯夕方になると痛みが強くなる
◯運動後や運動翌日が痛い
◯朝寝起きから初めて歩く際、長時間座った状態から急に歩く
◯階段やつま先立ちなどをすると痛い
症状には個人差がありますが、一度発症すると患部への負担が常にかかるため、痛みの軽減が難しく治りにくい状態もあります。
検査・診断
触診
足底の圧痛、腫れや痛みの部位などを確認します。
レントゲン検査
腱の炎症のため、レントゲン検査では骨には異常がないことが多いです。しかし、繰り返し足底腱膜が踵の付着部を引っ張るストレスがかかっているため、棘(踵骨棘)が出来る方がいます。痛みとの関連性はありませんが、足底腱膜にストレスがかかっていることを意味します。
骨の変形や他の疾患との鑑別するためには必要な検査です。
超音波検査
超音波では足底腱膜の腫れや肥厚、炎症などの有無を確認します。
MRI検査
より精密に炎症の程度や範囲、腱の損傷程度などを確認する際に行います。
治療
保存療法
保存的療法が基本です。保存療法とはストレッチや筋力トレーニングを行う運動療法、電気刺激などを利用した物理療法、薬や湿布などの薬物療法、インソールなどの装具療法です。
痛みが強い場合はスポーツは一時的に中止し、また靴などは柔らかいクッション性のあるものにすると軽減することが多いです。
理学療法
足底腱膜炎は足底腱膜へのストレスがかかる動作や姿勢、筋力など機能低下が原因のことが多いため、理学療法が有効です。ストレッチや筋力トレーニング、体の使い方の指導などで機能の改善や悪い癖を直していきます。
電気治療などの物理療法も組み合わせながら実施するより有効です。
薬物療法
非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs=ロキソニンなど)や湿布を利用することで炎症を抑え症状が改善します。ただし医師の適切な処方が必要ですので、ご相談ください。
装具療法
インソールやパッドを使用することよって、足底アーチへの負担を減らし、体重を支えやすい環境を作ります。
ステロイド注射
痛みが強い場合は直接治療薬を注射しますが、一時的に症状を改善させるだけで、根本的な原因を取り除いた訳ではありません。注射後に痛みが引いている状況でリハビリを行い症状を改善を目指します。ステロイド注射を繰り返し行うことは組織をもろくし、結果症状を悪化させる可能性あります。
手術療法
保存療法を行っても痛みの改善が見られない場合は、手術の検討も必要となる可能性があります。
エクササイズ
ボールでの足底マッサージ
テニスボールやゴルフボールで足底の筋肉をほぐします
足部内在筋群のマッサージ
足趾の運動
下腿の筋のストレッチ
熊本市東区御領の整形外科クリニックです。お子様の成長やスポーツに関する悩み、働く世代の方々の痛みやしびれ、高齢の方々の歩行や動作の不安や障害など骨、関節、筋肉に関する問題など、ご相談ください。
診療内容:整形外科・スポーツ整形外科・リハビリテーション科・リウマチ科