手首がぐにゃっと曲がってる!?痛くて力が入らない!!?
橈骨遠位端骨折
橈骨遠位端骨折(とうこつえんいたんこっせつ)は、高齢者の転倒で多い骨折の1つになります。前腕には、橈骨と尺骨という2本の骨があります。手の平を上下に向ける動きやドアノブを回す動作は、橈骨と尺骨が連動して前腕の回内、回外という動きとなり、動作が行われています。橈骨と尺骨は「肘と手首をつなぐ前腕の骨」なので、橈骨の遠位は手首側になります。だから、橈骨の手首側が骨折した状態を橈骨遠位端骨折をいいます。
原因と病態
主な受傷機転は、転倒で手を強くついてしまうことです。高齢になってくると、全身の筋力やバランス能力が低下し、転倒しやすくなります。不意に転んでしまった場合に、頭や顔を打たないように反射的に手をついてしまいます。そのような場合に、橈骨遠位端骨折を受傷してしまいます。この骨折に限ったことではないですが、骨粗鬆症になってしまうと、軽微な転倒でも骨折がしやすくなります。高齢者で多い骨折として、脊椎圧迫骨折や大腿骨頚部骨折と同様に橈骨遠位端骨折も起こりやすくなります。
若い方が受傷される場合は、自転車やバイク、スノーボードなどが多いです。
橈骨遠位端骨折でも、受傷のしかたと手首側の骨片の違いによって、コーレス骨折とスミス骨折に分けられます。
コーレス骨折
「手のひら」を地面について骨折すると、手首側の骨片は手の甲(背側)の方向にズレます。
スミス骨折
「手の甲」を地面について骨折すると、骨折部は手のひら(掌側)の方向にズレます。
症状
手首に強い痛みの訴えが生じます。骨折部に、炎症が生じ、腫脹や熱感が強く起こります。当然、手には力が入らなくなります。骨折のズレが大きいと、手首の形が変わります。骨折の状態や炎症によっては、神経が圧迫されて指がしびれることもあります。橈骨の掌側を通っている正中神経が障害されることも多く、その場合は、母指から薬指の感覚が障害されます。
軽度の骨折ですんでいると、さほど腫れもなく痛みも少ないこともありますが、のちに骨折部分が大きくズレてくることがあります。
検査・診断
レントゲン検査
骨の連続性(つながり)が保たれているかを確認します。
MRI検査
痛みが強いもののレントゲンで骨折がはっきりせずMRIにより骨折が明らかになる場合があります。
治療
骨折のズレが少ない場合は、ギプス固定を行います。この際指がきちんと動くようにギプスを巻くことと、指を動かすようにしていただくことが重要です。
痛みがあるからと言って指を動かさないでいると指の関節が固まり動かなくなってしまうことがあります。
ズレが大きい場合は、整復(形を元に戻すこと)を試みます。この際、痛みをかなり伴います。
整復位が得られない場合、整復位が得られてギプスを巻いてもギプス内部でずれてくる場合は、手術が必要になります。手術の場合は、早期にギプスが外せますが、骨癒合が得られるまでは慎重に経過をみつつ手指や肘のリハビリが必要になります。
※日本手外科学会「手外科シリーズ13」から画像を引用しております。
熊本市東区御領の整形外科クリニックです。お子様の成長やスポーツに関する悩み、働く世代の方々の痛みやしびれ、高齢の方々の歩行や動作の不安や障害など骨、関節、筋肉に関する問題など、ご相談ください。
診療内容:整形外科・スポーツ整形外科・リハビリテーション科・リウマチ科