その名の通り…風が吹くだけでも痛いっっっ!!!
痛風
「風が吹いても痛い」と書いて痛風です。
痛風(つうふう)は本来おしっこから捨てなければならない尿酸という物質が体内に多く溜まってしまう「高尿酸血症」がもとで発生します。高尿酸血症が続いていると、血液中に溶けていた尿酸が関節の周囲に結晶として沈着していきます。これがもとで急性の炎症発作を起こすのが痛風です。関節周囲が赤く腫れ強い痛みを生じます。発作の場所は足の親指やアキレス腱の周囲、手に多いですが、膝や肘にも起きることがあります。尿酸の結晶化は体温が低いと生じやすいため、手足の先のほうに発作が起きやすいと言われています。
高尿酸血症は、痛風発作をおこさなければ無症状ですが、心疾患、脳血管疾患、腎疾患、脂質代謝異常症、メタボリックシンドロームなどと関係が深く放置すると多くの合併症を引き起こす原因になります。
原因と病態
痛風は高尿酸血症に起因する病気です。尿酸は、プリン体(プリン環の構造を持つものの総称。核酸の代謝産物)が分解されることでできる物質です。プリン体を多く含む食べ物を取り過ぎたり、代謝経路のどこかに異常ができたりすると、体内のプリン体は少しずつ溜まっていきます。プリン体が体内で分解されると、最終産物の尿酸がつくられます。
産生された尿酸は、腎臓や腸管から排出されます。血液の尿酸値は、体内で産生された量と排泄された量のバランスによって決まります。血液中の尿酸値が上昇すると、高尿酸血症が出現します。尿酸が関節や腎臓のなかで結晶となると、さまざまな症状が現れます。
What’s 尿酸!?
すべての細胞は分裂して子孫を残すための遺伝子を持っています。単細胞生物のアメーバですら遺伝子を持っていて分裂して増えてゆきます。この遺伝子を構成する核酸という物質はプリン体やピリミジン体などからできていますが、この内のプリン体が代謝分解されると尿酸になります。尿酸は血液中に溶けきらなくなると結晶化して関節周囲や腎臓に析出し悪影響を及ぼします。最近プリン体が含まれないアルコール飲料が発売されているのはこのためです。
プリン体にどう向き合うか?
前述のようにすべての細胞にはプリン体が含まれますので、食べ物のほとんどにはプリン体があるといえます。プリン体を多く含む食品を摂りすぎると当然体内のプリン体は上昇します。だからと言って高尿酸血症の原因がすべて食べ物にあるわけではありません。人体内では常に代謝の過程で多量のプリン体が作れらており、その量は食事から摂取する量よりかなり多いものです。したがってプリン体を多く含む食品を食べないようにする必要はありません。
高プリン体食に偏らないようにすることは大切です。食事の総カロリーを抑え、バランスよく食事することをおすすめします。
アルコールとプリン体
よくビールの飲みすぎは痛風の原因になるといわれます。含まれている量はそれほど多いとは思わないのですが、ビールなどアルコール飲料は一度に多量に摂取したり、習慣的に摂取する方がいらっしゃるのでそうした場合は量を減らした方が良いでしょう。
また、アルコールはそれ自身が代謝の過程で尿酸を増やしてしまうような働きがあるため、たとえプリン体含有量が0mgの焼酎でも多量に摂取すると尿酸値が上昇する可能性があります。痛風発作を起こしたことのある方は、お酒の量を控えプリン体含有量の少ないものにすると良いでしょう。一般的に蒸留酒の方がプリン体含有量はすくないです。
症状
痛風の前兆として、患部の違和感やむずむずした感じを訴える方が多いといわれています。痛風の前兆が現れた段階で治療ができなかった場合には痛みが生じ、通常24時間以内に痛みのピークを迎えます。痛風発作の痛みは耐え難いほどの激痛で、日常生活が困難になる方もいるほどです。その後、強い痛みが2~3日続き、1~2週間で症状は治まります。また、痛風になると、痛みを生じた箇所は赤く腫れ上がり、熱感を伴います。
さらに、高尿酸血症を放置しておくと、手足の関節や耳たぶの皮膚の下にも尿酸塩の結晶が沈着してこぶのようになります。これを痛風結節といいます。痛風結節は、痛風発作と違い痛みが生じることはありません。しかし、進行すると、関節が変形したり骨の破壊が起こったりして日常生活に影響が出ます。
痛風と高尿酸血症が引き起こす疾患
腎障害
高尿酸血症・痛風には腎機能障害が高頻度に合併することが知られています。
尿路結石
尿路結石も高頻度に合併します。
高血圧症
高尿酸血症の存在は高血圧症を発生させやすくします。
メタボリックシンドローム
痛風や高尿酸血症によく見られるとされています。
動脈硬化性疾患
高尿酸血症は、動脈硬化性疾患の危険因子の可能性が高いとされています。
検査・診断
痛風の検査では、はじめに痛風関節炎や痛風結節の有無が診察で確認されます。また、血液検査や尿検査を行うことで、血清尿酸値や尿中尿酸排泄量といった数値も調べるのが一般的です。
診断が困難なケースでは、滑液中の尿酸塩結晶を調べることがあります。また、骨の状態を確認するためにレントゲンの撮影による検査が行われることもあります。
治療
薬物療法
高尿酸血症の改善が重要です。痛風発作の痛みに対しては、鎮痛薬を使って速やかに痛みを和らげます。痛風発作が治まったら、血中の尿酸値を下げるために尿酸降下薬の服用を開始します。
生活習慣の改善
食生活や生活習慣が原因となる高尿酸血症はメタボリック症候群のひとつと考えられています。運動は週3回程度の軽い運動を継続して行うことがお勧めです。手軽なものとしてはウォーキング、自転車こぎ、スイミングなどです。
過激な運動は血液中の尿酸を上昇させかえって逆効果です。心肺機能に問題のないかたは、ランニングなどの距離が長いと痛風になりにくいとされていますが、軽い適度な運動を続けている方のほうがさらに痛風発症の頻度が少なくなることがわかっています。
参考までに、食事でわかっていることは アルコールや肉類の摂取、砂糖が入ったソフトドリンクの摂取が多いと痛風の発症が多くなりますが、コーヒーは1日4杯を超えると痛風の発症は少なくなります。食品はすべて一長一短ありますので、偏ることなくバランスの良い食事を心がけ、肥満気味の方は総カロリーを減らすことが大切だと言えます。
また水分は尿酸を尿に排出しやすくさせますので、水分を大目にとることはおすすめです。
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