スポーツ選手に起こりやすい’すね’の痛み
シンスプリント(脛骨過労性骨膜障害)
スポーツにより、脛(すね)周囲に痛みが生じ、安静にすることにより痛みが引く症状のことを言います。筋肉による繰り返しの牽引を原因とした下腿の骨膜炎と考えられています。10代アスリートに多く、特にランニング傷害においては12~18パーセントを占めていると言われています。
原因と病態
シンスプリントはオーバーユース(使い過ぎ)または反復するストレス(過労)によって引き起こされるスポーツ傷害です。原因は、脛骨に加わるストレスによって生じる骨膜炎とされていますが、近年では、腱炎、筋膜炎、骨膜炎などを含めた、脛骨のストレス反応による過労性傷害と考えられています。シンスプリントの要因は次のようなことと関連しています。
身体要因
下肢アライメント異常 足首や母趾の可動域制限 下腿の筋肉の機能不全
トレーニング要因
不適切なトレーニングの強度 頻度 実施時間(量)など
環境要因
不良なランニングシューズ 硬い路面での走行
女性においては、骨粗鬆症、無月経、摂食障害を主徴候とする女性競技者三主徴症候群と関連していると考えられています。
症状
主な症状は、すねの痛みや腫れです。はっきりしない広範囲に広がる痛みとともにすねを押したときの痛みがあります。初期にはトレーニングの開始時に痛みを感じ、トレーニングの継続につれて徐々に痛みは緩和され、休憩すると数分のうちに軽快します。しかし、傷害の進行に伴い、日常生活や安静時にも痛みを生じるようになります。
診断
シンスプリントの診断は、問診や医師の手で身体に対して直接触れて検査を行うことにより、概ね予測ができます。しかし、疲労骨折やコンパートメント症候群などの鑑別のため、画像診断は欠かせません。受傷後2~3週において、レントゲン画像ではほとんど異常を示しません。慢性的なシンスプリントの長期的なレントゲン画像の変化では、骨膜が肥厚している場合があります。また、MRIはシンスプリントの診断に最も有用であるとされています。受傷早期の骨膜の浮腫から、骨髄内反応、最終的に疲労骨折に至るまでの進行を敏感に捉えることができます。
治療
シンスプリントの治療においては、安静、運動療法、物理療法、装具療法(足底板)、薬物療法などの保存的治療がほとんどです。
急性期には患部のアイシングを徹底します。競技復帰をしてからもトレーニング後は必ず実施するようにします。急性期の第一選択は安静です。受傷後2~6週間はスポーツを休止し、競技復帰までのトレーニングは痛みのない範囲で段階的に増加させます。
理学療法士が、シンスプリントを発生させる原因となる体の使い方やバランスの不十分な部分を評価し、適切にリハビリテーションを行います。併せて、普段心掛ける事や、自主トレーニング方法、患者様に合ったインソールなどのスポーツ用具に関しても、必要に応じてご提案させていただきます。
当院の物理療法ではシンスプリントに対して、超音波骨折治療法「LIPUS(アクセラス)」を導入しています。骨折の治療期間が4割ほど短縮できたとの学術データもある先進医療の一つです。この治療法は、サッカーのデビッド・ベッカム選手や野球の松井秀喜選手が骨折治療のために受けたことでも知られています。
熊本市東区御領の整形外科クリニックです。お子様の成長やスポーツに関する悩み、働く世代の方々の痛みやしびれ、高齢の方々の歩行や動作の不安や障害など骨、関節、筋肉に関する問題など、ご相談ください。
診療内容:整形外科・スポーツ整形外科・リハビリテーション科・リウマチ科