手指が朝からこわばる感じがする・・・
関節リウマチ
関節リウマチは、多発性の関節炎を主な症状とする原因不明の自己免疫疾患です。炎症は関節の滑膜から始まり、これが進行することで軟骨や骨の破壊が起こり、最終的に関節の破壊・変形をきたします。当初は手足あるいは膝などに現局した痛みと腫れが主体で、次第に全身の関節が侵されます。約40%の症例が再燃と緩解を繰り返しながら、慢性的な経過をたどります。
原因と病態
関節リウマチは家族内や一卵性双生児内での発症率が高いことより、遺伝的因子に環境因子が加わって発症すると考えられています。しかし、はっきりとした原因は不明です。男女比は1:3~4で女性に多く、30~50歳代での発症が多くなっています。
関節リウマチは滑膜の異常増殖とそれに伴う、骨・軟骨組織の破壊を特徴とします。進行すると滑膜組織がある滑液包や腱鞘にも炎症、変性が生じて腱の異常な伸張や断裂が起こります。特徴的な病理組織像を示す肉芽組織(リウマトイド結節)を認めます。
症状
症状、症候は関節の内外に現れ、関節外症候は身体機能や生命の予後に大きく関わります。活動性低下とステロイドの影響により骨粗鬆症を合併しやすいと言われています。関節の初期症状は手に生じやすく、左右対称的に認められることが多いのが特徴です。
関節内症状について詳しく説明します。
朝のこわばり
朝起きたときに関節がこわばり、指を動かしにくくなります。こわばりは身体を動かして数時間が経つと和らぐことが多いです。
痛み
安静にしているときの痛みや押したときの痛み、動かしたときの痛みを認めます。痛みの程度は個人差が大きく、天候や精神的ストレスなどの影響も受けます。
腫脹
滑膜や関節包が厚くなることや、滑液が溜まることにより腫れ生じます。手指、肘、膝関節の腫脹は多く見られます。
動揺性
軟骨や骨の破壊が進めと関節周囲の関節包や靭帯が緩くなり、関節の動揺性が増します。関節の動揺性は関節周囲の腱や靭帯の付着部に異常なストレスをもたらし、痛みにつながります。
関節可動域制限
痛みにより関節を動かしにくくなったり、関節面の破壊や関節周囲の軟部組織の拘縮によって動かしにくくなったりします。手関節に関しては関節拘縮が進行して強直をきたすこともあります。
変形
典型的な関節変形を生じます。手指変形の名称はその形態に由来するものが多く、オペラグラスハンド、スワンネック変形、ボタンホール変形、槌指(マレットフィンガー)などがあります。変形の原因は関節の破壊、弛緩、脱臼や痛みに対する筋緊張増大、不動による拘縮があげられます。
検査・診断
問診・視診
朝のこわばりの有無や関節の痛み、腫れ等より米国リウマチ学会や日本リウマチ学会、厚生労働省等の基準と照らし合わせ、関節リウマチを疑います。
画像検査
レントゲン検査は関節リウマチにおける関節の変化を把握するうえで基本となります。病状把握に加え、早期関節リウマチの予後の指標や治療による破壊抑制の効果判定などに用いられます。レントゲン画像では、病初期に関節周囲の骨の粗鬆化がみられ、進行とともに骨びらんや関節裂隙の狭小化、関節変形などが認められるようになり、末期では強直が認められることもあります。CTでは関節面の破壊の範囲や程度がより明らかにわかりますし、MRIでは、滑膜、靭帯、腱なども評価することができます。
血液検査
血液検査では赤血球沈降速度値亢進、CRP上昇を認め、血小板や好酸球が増加する傾向にあります。リウマトイド因子はほとんどの症例で陽性となります。確定診断は血液所見だけでなく、身体所見や画像所見などを組み合わせて総合的に行います。
関節液の所見
関節リウマチの診断が困難で、鑑別が必要な場合などに関節穿刺が行われます。関節リウマチの方から得られる関節液は、白血球の増加により、正常に比べ黄白色に混濁しており、また粘稠度が低下しています。滑膜片の浮遊を認めることがあります。
治療
薬物療法
炎症、痛み、関節破壊、腫脹を軽減させる目的で、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、疾患修飾性抗リウマチ薬、生物学的製剤、ステロイドが使用されます。ステロイド治療では骨脆弱化、高血圧、筋力低下などの副作用が伴います。
手術療法
痛みの緩和と関節可動域の改善によって生活しやすくすることを目的として行われます。主に3つ紹介します。滑膜切除術は、滑膜切除により関節破壊の進行を予防するために行われます。薬物療法の進歩により施術頻度は激減しています。人工関節置換術は、関節破壊が進行し、可動域制限が生じているか強い痛みが残っている場合で、この手術により機能改善の見込みがある症例が適応となります。膝関節や股関節、肘関節に対して行われます。関節固定術は関節破壊の進行により強い痛みがあり、関節を固定したほうが日常生活を行いやすくなる可能性のある症例が適応となります。手関節や足関節、指に対して行われます。
リハビリテーションや装具療法
少しでも生活しやすくするために行われます。消炎・鎮痛・血流改善などを目的に温熱療法、寒冷療法、電気治療等を行います。関節可動域や筋力の保持、改善のために運動療法も行います。日常生活を送りやすくするために補助具を検討したり、変形予防、矯正に矯正器具を検討したりします。
熊本市東区御領の整形外科クリニックです。お子様の成長やスポーツに関する悩み、働く世代の方々の痛みやしびれ、高齢の方々の歩行や動作の不安や障害など骨、関節、筋肉に関する問題など、ご相談ください。
診療内容:整形外科・スポーツ整形外科・リハビリテーション科・リウマチ科