親指に力が入りにくい。力を入れると痛い!?
母指CM関節症
母指CM関節症は親指の付け根にある関節の軟骨のすり減りによって生じる疾患です。50歳前後の方に最も頻繁に発症する変形性関節症の一種とされています。親指の付け根の関節をCarpometacarpal関節(CM関節)とも呼ぶことから、母指CM関節症と呼んでいます。
原因と病態
主な原因は加齢やホルモンバランスの変化、関節の変形変化とされています。また、昔、親指に受けた怪我も母指CM関節症の原因ともなりえます。
正常の関節では軟骨が骨を覆っており、クッションの役割や滑らかに動く役割を担っています。CM関節症ではこの軟骨がすり減り、骨と骨同士がぶつかり合い、関節へのダメージを与える状態になっています。このダメージにより骨の新たな増殖(隆起)が生じます。
リスク因子(これらの項目が当てはまる人はCM関節症にかかりやすいです)
・女性
・40歳以上
・肥満
・遺伝(靭帯のゆるみなど)
・過去の外傷(親指周囲の骨折など)
・親指に強い負担のかかるスポーツや労働
症状
主な症状は母指の付け根の痛みです。何かを握る、つまむなど親指で力を加える際に痛みが生じます。
・瓶やペットボトルのふたを開ける
・布団を挙げる
・ドアのノブを回す
・ホッチキス,ハサミ
・ボタンをかける
・タオルを絞る
・字を書く
・草むしり など
痛み以外の症状としては、親指つけ根の腫脹、硬さ、こわばり、つまむ時や握る時の力の弱まり、動かしにくさなどがあります。また、関節が変形したり、亜脱臼を起こしたり、親指が外に開きにくくなります。隆起した骨の出っ張りが生じることも一般的です。
検査・診断
視診・触診
CM関節の変形(腫脹や骨隆起)があるか観察します。また医師が親指に多少の力を加えながら動かしてもらうことでゴリゴリといった軟骨不正を示唆する音が生じたり、痛みが生じたりするかを調べます。
レントゲン検査
骨棘、軟骨の菲薄化などを確認することで診断します。
治療
保存療法
薬物療法
NSDAIDsと呼ばれる消炎鎮痛剤、また痛み止めが用いられることがあります。あくまでも痛みを抑えるための対症療法の要素が大きいです。
また関節注入も行われることがあり、比較的長時間効果のあるステロイド製剤が使われることがありますが、痛みがぶり返す可能性もあります。
装具療法
簡単な装具(サポーター)も使用されることがあります。母指CM関節を休ませること、動作時の正しいポジションを保つこと、痛みを軽減させることなどの目的で用います。
手術療法
手術には固定術、形成術、置換術などがありますが正常に使えるようになるまでに長い期間を要することがデメリットです。
http://www.jssh.or.jp/ippan/sikkan/pdf/15boshi-cm.pdf
※日本手外科学会「手外科シリーズ 15」から引用しております。
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診療内容:整形外科・スポーツ整形外科・リハビリテーション科・リウマチ科