特に思い当たるきっかけがないのに骨折??
疲労骨折
疲労骨折とは、同一部位の骨に疲労が蓄積されることで起こる骨折です。そのため、一回の大きな外力(転倒や強打が原因)で発生する通常の骨折とは異なり、短期的に過度なトレーニングを繰り返し行うことよって起こることが多いと考えられています。 同じ動きやトレーニングを繰り返し行うことで、同部位に繰り返し小さなストレスが加わり、そのストレスによる軽い損傷が積み重なって、治ることなく残ってしまうことで起こります。初期は軽い痛みや腫れ感のみですが、症状が進行すると、ひびが入ったり、ひどい場合には完全な骨折につながる場合もあります。疲労骨折はあらゆる年齢で発症しますが、骨や筋力の発育的な問題から、成長期(15,6歳前後)に多くみられると言われています。
また、疲労骨折は女性運動選手の3主徴(骨粗鬆症、無月経、摂食障害の徴候)で生じやすいとも言われています。
原因と病態
疲労骨折の原因は以下のようなことです。
使いすぎによる疲労の蓄積
栄養不足(無理なダイエットなど)
(女性の場合)原発性無月経・続発性無月経
固いフロアやロードでの練習
体幹機能やバランス能力が足りず、一箇所に応力が集中する使い方をしてしまう場合
タバコの吸いすぎや飲酒
など
症状
強い痛みや内出血、大きな腫れを伴うことはないですが、運動しているときや圧迫したときに痛みを感じることが多いです。痛みのある部位が腫れたり、少し膨らんだりする場合もあります。
疲労骨折は主に以下の部位で起こります。
肋骨(ろっこつ)疲労骨折
腰椎疲労骨折(腰椎分離症)
大腿骨疲労骨折
脛骨(けいこつ)疲労骨折
腓骨(ひこつ)疲労骨折
中足骨疲労骨折
尺骨(しゃっこつ)疲労骨折
肘の疲労骨折(肘頭疲労骨折)
比較的まれな疲労骨折
骨盤の疲労骨折
バスケットボール、野球、ランニングなどに多いです。姿勢の異常や筋肉の硬さ、競技特有の動きや運動のフォームなどの影響で疲労骨折を起こすことがあります。特に恥骨(ちこつ)の発生が多いとされています。ここには股関節を閉じる筋肉がいくつもついているのでその影響が大きいと考えられています。
踵骨(しょうこつ)(かかと)疲労骨折
長距離の歩行やランニングによる着地での衝撃とアキレス腱による引っ張る力が原因とされています。踵に押したときの痛みがあり、発症から約3か月経過するとレントゲンでも確認できます。保存療法で治癒します。
足の舟状骨(しゅうじょうこつ)疲労骨折
陸上競技の短距離、中距離、長距離に多く、その他バスケットボール、野球、ラグビー、ハンドボールなどに発症しやすいと言われています。症状があいまいで一定ではないのが特徴で、病状が悪化するまで受診しなかったり、受診しても見逃されたりします。原則は保存療法で治癒します。
検査・診断
まず、ぶつけたり捻ったりという明らかな外傷がないのに、なかなか改善しない慢性的な痛みや腫れがあるときは疲労骨折を疑います。
初期では、X線(レントゲン)検査では所見が認められないことが多く、まずMRI検査を行います。局所の炎症や微細な損傷は超音波検査を行います。発症後2週間以上経っているものではレントゲンでも変化が認められることがあります。
治療
基本的には疲労骨折が生じた部位に負担をかけないことが重要です。
痛みがある状態で、無理に練習を続けてしまい疲労骨折の発見が遅れると、骨折が治りにくい「難治性骨折」や「偽関節」となる場合があります。手術が必要となる場合もありますので注意が必要です。
復帰に関しては、定期的なMRIや超音波検査、X線検査の結果を見て、試合や生活のニーズに合わせながら段階的に医師が復帰時期を指示・提案させていただきます。
保存療法
理学療法士が、疲労骨折を発生させる原因となる体の使い方やバランスの不十分な部分を評価し、適切にリハビリテーションを行います。併せて、普段心掛ける事や、自主トレーニング方法、患者様に合ったインソールなどのスポーツ用具に関しても、必要に応じてご提案させていただきます。
当院では、疲労骨折に対して、超音波骨折治療法「LIPUS(アクセラス)」を導入しています。骨折の治療期間が4割ほど短縮できたとの学術データもある先進医療の一つです。この治療法は、サッカーのデビッド・ベッカム選手や野球の松井秀喜選手が骨折治療のために受けたことでも知られています。

手術療法
固定用ネジやプレートで骨折部を整復・固定するための手術が行われることもあります。


熊本市東区御領の整形外科クリニックです。お子様の成長やスポーツに関する悩み、働く世代の方々の痛みやしびれ、高齢の方々の歩行や動作の不安や障害など骨、関節、筋肉に関する問題など、ご相談ください。
診療内容:整形外科・スポーツ整形外科・リハビリテーション科・リウマチ科